リノベーションの極意
実施するべき優先順位
リノベーションの対象設備は多岐にわたりますが、「家賃アップができて入居が決まる」もっとも効果の上がりやすい項目は決まっています。物件状況により異なりますが、おおむね以下の順位となっています。
- システムキッチン
- 床材
- 洗面化粧台(三面鏡 > 引出 > 開き戸)
- 追い焚き > 浴室サーモスタット水栓
- エアコン
- シューズボックス(トールタイプ)
- TVドアホン
- 3DK→2LDK間取り変更
- アクセサリー類(お客様自身で設置できないもの)
- ウォシュレット
- LED照明器具
- アクセントクロス
- 巾木・廻縁(➁とセットの工事)
※Wi-Fi設備など共用設備は除く。
文字色がオレンジのものは、他の物件との差別化がしやすい設備です。その物件独自のアピールポイントになるため賃料アップを狙いやすくなります。デザイン性が絡むものに対しては周囲との調和が重要のため、うまくデザインが馴染まないとむしろマイナスポイントとなってしまいます。
黒字のものは定番化しつつある設備です。そのため差別化にはなりづらいですが、お客様からの要望が強い設備でありこちらも重要です。
工事コスト&投資判断
様々な投資分析指標がありますが554戸のリノベに共通した、弊社で実施している超カンタンな投資術をご紹介いたします。
- まず「ターゲット家賃」を決める。
- ターゲット家賃とは、オーナー様が設定したい賃料を指します。自由に決めてよいという訳ではなく、新築物件の家賃相場を基準に周辺の相場を参考にしながら設定します。
- 「ターゲット家賃の18ヶ月分」を工事予算とする。
- エリアや立地によって異なりますが、12ヶ月分ではリノベーションのボリュームが不足しがちになります。24ヶ月超では投資対効果が低くなるので原則実施しません(ただし経費計上を使える場合は別です)。
- 優先順位の高いものから予算内でできるところまでを実施。
- 例えばターゲット家賃を6万円とする場合、6万円×18ヶ月=108万円を工事予算としてできるところまでリノベーションを実施していきます。
原状回復(修繕工事)にかかる費用は、上記計算金額には含めません。リノベーションに関わらずかかる費用だからです。ただしリノベーションでは設備の修繕よりも交換が多いので、修繕工事費は安くなる傾向があります。
リノベーション時の注意点
十分が資金がある場合でも、とにかくお金をかければいいというわけではありません。1戸の物件にフルリノベーションを行って賃料の最大化を図るより、複数戸の物件に部分的なリノベーションを行う方が有利なケースも存在します。
プランA | フルリノベーション |
---|---|
実施戸数 | 1室 |
費用 | 4,500,000円 |
成約家賃 | 92,000円 |
投資回収期間 | 約4年 |
投資判断 | 不合格 |
プランB | プチリノベーション |
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実施戸数 | 16室 |
費用(1戸) | 1,300,000円 |
成約家賃 | 78,000円 |
投資回収期間 | 約1年4ヶ月 |
投資判断 | 合格 |
上記は築16年、原状回復の場合は賃料68,000円でも入居づけが厳しい物件のリノベーションを検討したケースです。
プランAのように、1室に集中してフルリノベーションを行い高級路線の物件として賃料アップを図り、収益の最大化を狙うという考え方もあります。しかし資金の回収完了が4年後になり、回収までに時間がかかりすぎることから投資としては好ましいものではありません。
一方でプランBのように分散させてリノベーションを行い、トータルで収益アップを狙うという考え方もあります。この場合資金の回収は約1年4ヶ月で完了することから、投資として有利なのはプランBであると言えます。
世間のリノベーションは費用をかけすぎているケースが多いのですが、リノベーションの目的はお金をかけることではなく入居につながる物件にすることです。そこそこのリノベーションで狙い通りの物件にできるのであれば必要以上に資金を注入すべきではなく、これがリノベーションを行う際に注意しなければならないポイントです。