「何もしない」というリスク
費用負担の発生や、家賃減額による収入減がリスクと捉えられがちですが、必ずしもそうとは限りません。以下の例をご覧頂き、一度お考え頂ければと思います。
リスク対策シミュレーション
例えば、このような物件があったとします。状況は下記のようになっています。
物件の状況
- 入居平均賃料: 5.5万円
- 募集賃料: 5.5万円
- 空室: 4戸/12戸(1年間空室)
空いている4部屋について対策を考えてみます。このような選択肢が考えられるでしょうか。
空室対策の選択肢と懸念点
- 現状のまま(何もしない)
- 一見すると費用負担がなく、リスクもない。
- 家賃を下げて満室(家賃適正化)
- 現状の家賃で満室になった場合より減額してしまう。
- 家賃を上げて満室(リノベーション)
- 施工による費用が発生するため、資金が減ってしまう。
みなさんはどの対策を選びますか?
空室対策の効果
ではそれぞれの空室対策の効果を見ていきましょう。
- 現状のまま(何もしない)
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- 収入…528万円/年
- 利回り10%で売却すると…5,280万円
- 短期では現状と同じだが長期で見ると経年で賃料が下げざるを得ず収入減が予想される。
- 家賃を下げて満室(5.5万円⇒4.5万円)
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- 収入…744万円/年
- 利回り10%で売却すると…7,440万円(+2,160万円)
- 費用負担がほぼないというメリットはあるが、長期では設備の刷新が無いため経年による賃料低下で収入減につながる。
- 短期保有で高く売りたい場合は効果あり。
- 家賃を上げて満室(5.5万円⇒6.0万円、費用負担600万円)
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- 収入…816万円/年
- 利回り10%で売却すると…8,160万円(+2,280万円)
- 費用負担は発生するが、設備の刷新により賃料の低下を食い止められる。更に相続税対策・事業承継にも有効。
- 物件の承継や長期保有、高額で売りたい場合に効果あり。
長期で見ると、収入増が見込めないのは「何もしない」場合であることがお分かりいただけるかと思います。このように「何もしない」という選択肢がリスクになり得るのです。
今回挙げた中で最も収入が期待できる選択肢は「リノベーション」でしたが、実際の空室対策でもそれが正しいとは限りません。空室対策にはこれが正解というものはなく、それは各オーナー様の目的・ビジョン、現在の状況によってそれぞれ異なる対策が必要になるからです。しかしながら現状と対策後との比較をすれば、「何もしない」という選択肢を選ぶのはナンセンスであると言えます。